発達特性をお持ちのお子さまへの
三重県松阪市にある発達支援専門の施設

お知らせ・コラム

コラム
2022年4月15日

原風景

初めまして今年度より下之庄に非常勤で勤めている廣瀬と申します。職種は音楽療法士です。

私は三重県で生まれ育ち、その後北関東にて過ごし、今再び三重に住まいを構えています。地元を離れて思ったのは、三重県の良いところはやはり海があるところでしょうか。少し車を走らせ海辺に出ると、青い海、地平線そしてどこまでも広がる空が目に入ります。風と一緒に海の匂いを鼻から吸い込むと、もう一気に子どもの頃の自分に戻ります。不思議ですね、何故そうなるのでしょうか…

もう半世紀も前のことになりますが、私が小さい頃は夏休みになると毎日のように海に泳ぎに行きました。本当に毎日です。それ以外にやることがなかったのです。てくてくと海辺まで歩き、海に潜ったり、泳ぎ疲れると砂を深く掘って土手を作りそこに海水を引き込んで貯めて浸かったり、寒くなったら砂をかけて身体を温めたり、そんなことをしてずいぶんと長い時間を過ごして遊んでいたものでした。十分遊んで満足するとようやく帰ろうという気持ちになり、家に向かって歩き始めるのですが、長い時間遊んでいたためお腹はペコペコで、食べ物の事以外は何も考えられず食べ物が頭の中でグルグル回ります。家に着くとまずはお風呂で身体を洗い、そして握ってもらったお握りにかぶりつき満足するとそのままごろりと寝てしまいます。遊び疲れて起きていられないのです。そうやって私の心とお腹はいつも満たされていたものでした。誰に言われてそうした訳でなく、私自身がやりたいと思ってそのようにやっていたのです。

今でこそもう長らく海には入っていませんが、入らなくても海には行きたくなるのですよね。土手づくりもしなければ、砂堀りもしませんが、その日の私がしっかり胸の中にいて、海に行くと今でも心が満たされて心地よい気分を味わうことができます。私にとっては特別なかけがえのない場所と言う事ができます。皆さんの心の奥にはどんな風景が映っているのでしょうか?